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エアコンからの水漏れ その3

エアコンからの水漏れ その3

 

前回、ご案内しました通り、今回は暖房時の水漏れについて説明します。

 

 

(1)室内機からの水漏れ

冷房運転時に室外機からの水漏れがほとんどないように暖房運転時には室内機からの水漏れはほとんどありません。

エアコンの水漏れの仕組みでご説明しました通り、水漏れには高温の空気と低温の冷媒が近接することにより発生する結露水が大きく関係します。

冷房運転と暖房運転では冷媒のサイクルが真逆になり、暖房運転の際の室内機内部は高温、室外機側は低温になります。暖房運転時、室内の空気が低温(低湿)、冷媒が高温ですので、結露水自体が発生しないのです。室内機で結露水が発生しませんので、この水が漏れるということはまずないと言えます。

 

(2)室外機からの水漏れ

次に室外機からの水漏れについてですが、暖房運転時は室外機に結露水が発生します。

ただし、暖房運転する冬は空気が非常に乾燥します。冷媒の温度は外気温より低くなりますから、結露はするものの冷房運転の時よりも結露する水の量はそれほど多くありません。また、結露したとしても外気が低いために熱交換器に霜状になって張り付くことが多くなります。

このままの状態で運転を続けると暖房運転の効率に影響しますので、暖房運転時には除霜(デフロスト)運転というのが入ることがあります。

暖房運転の際に暖房の風が止まり、室内機の周囲がひんやりとしたように感じたことはないでしょうか?

この仕組みを説明しますと、室外機の熱交換器についた霜を溶かすために室外機の熱交換器に熱い冷媒を送っているのです。つまりは冷房運転のサイクルになっています。(室内機のファンは回りませんので風は出ませんが室内機に冷たい冷媒が送られますので、室内機の周囲が冷たく感じられるのです。)これを除霜(デフロスト)運転と言います。

冷媒の温度によっては霜を融かすと外気温によっては水にならず湯気のようになって空中に放出されることがあります。(暖房運転時に室外機から煙が出ているという相談を耳にすることがありますが、ほとんどの場合、霜が融けた時の湯気と思われます。)

湯気にならなかった水は結露水として冷房時の室内機と同様に排水として処理されますが、その問題で室外機から水漏れを起こす場合があります。

 

室外機からの結露水の排水の仕組みについて説明します。室内機と同様に室外機の底に結露水が溜まります。室外機の底には結露水の排水用の穴が開いており、その穴から排水されます。

室内機の結露水の排水にドレンホースは必須ですが、室外機の場合は必須ではありません。逆に環境によってはドレンホースの接続がお勧めできない場合もあります。

では、次にドレンホースを接続している場合、接続していない場合、それぞれの水漏れについてご説明いたします。

 

ⅰ)ドレンホースを接続している場合

①室外機内部の汚れの堆積

室外機にドレンホースを接続する場合、結露水の排水用の穴にソケットを差し込み、ソケットにドレンホースをつなぎます。

室外機は当然のように室外に置いていますので、ゴミ、枯れ葉、などが入り込み、室外機の底の穴をふさいでしまう場合があります。この時想定された経路を通ることが出来なくなった結露水が漏れ出ることがあります。

 

②ドレンホースの問題

室外機の底にゴミなどが溜まらなかったとしても、ホースにまでゴミが入り込み、ホース自体を詰まらせ結果的に水漏れになる場合があります。また、環境によってはドレンホースを接続しない、と説明しましたが、ここでも問題になるのは外気温です。

外気温がかなり低下する地域でドレンホースを接続すると、ドレンホースの内部で結露水が凍結、その後結露水の行き場がなくなり、室外機から水漏れを起こす場合があります。

この他にドレンホースが外れかかっているような場合、ドレンホースがつぶれてしまっているような場合が考えられます。

いずれにしても対応については販売店や工事店に相談されることをお勧めします。

 

(参考)室外機の底に水がたまった場合の機械への影響

室外機にはエアコンの心臓部と言われる圧縮機(コンプレッサー)という非常に重要な部品があります。エアコンの消費電力のほとんどはこの圧縮機(コンプレッサー)で消費されます。そのような部品がある室外機の底に水が溜まって問題がないのでしょうか?

答えは構造上問題がないようにしている、ということになります。

全てのメーカーで同じ対応をしているか不明ですが、室外機の底の部分を一段高くして、そこに圧縮機を設置します。さらにドレン排水用の穴以外にも排水できる箇所を設け、圧縮機が水につかる前にその穴から排水されるようにしていると聞いたことがあります。

 

ⅱ)ドレンホースを接続していない場合

①室外機の底から水が漏れている場合

これは正常と言わざるを得ません。室外機の底には排水用の穴が開いていますが、設置環境などの状況に応じてドレンホースを接続していない場合、排水用の穴からドレン水が垂れる、ということになります。

見栄えの問題などがありますので、水漏れを改善させたい場合は販売店、工事店にご相談されることをお勧めしますが、やはり環境によってドレンホースの接続が好ましくないとの判断になる場合があります。

 

 

このように暖房運転時の水漏れに関しては機械の不具合よりも汚れや施工上の問題がほとんどです。

ドレンホースを接続しているにも関わらず、ドレンホースの先端からではなく、室外機の底から水が漏れているような場合は何らかの原因がありますので、販売店や工事店に相談されることをお勧めします。(汚れの堆積などの場合はメーカーが対応される場合もあるかもしれませんが、ドレンホースの問題の場合、施工上の問題となりますので、メーカーでは対応されない可能性が高いです。)